日本の矯正は「抜歯」が当たり前?

〜「抜く矯正」から「育てる矯正」へ〜

 

 

🧑‍⚕️「矯正するなら、歯を抜く必要がありますね」

 

この言葉を聞いて、驚かれた保護者の方は多いのではないでしょうか。

虫歯でもないのに、健康な永久歯を抜くと聞いて、戸惑うのは当然のこと。

実は、日本の矯正歯科では約6割のケースで抜歯が選択されています。

 

では、「歯を抜く」という選択は、本当に「当たり前」のことなのでしょうか?

今日は、小児矯正専門クリニックを運営する立場から、

この「日本の常識」に疑問を投げかけてみたいと思います。

 

👦日本人の顎は本当に小さいの?

「日本人は顎が小さいから、歯を抜かないと並ばない」

矯正歯科で聞かれる説明でのひとつです。

確かに、日本人は欧米人と比べて顎の奥行きが浅い傾向があります。

しかし、ここには大きな誤解があります。

顎が小さいのは、

生まれつきではなく「育ち方」の問題なのです。

 

現代の子どもたちの食事といえば

柔らかいパン、ハンバーグ、カレー、パスタ…。

実はよく噛まなくても食べられるものが多いのが現実。

給食のメニューも、昭和の時代と比べると格段に柔らかくなっているのをご存知ですか?

 

 

しっかり噛む習慣がなければ、顎は十分に発達しません⚠️

顎の成長が不十分だから歯が並ぶスペースがない⇒だから抜歯する。

これは、根本的な問題を見逃した「対症療法」に過ぎないのではないでしょうか。

 

🦷「スペースがないから抜く」という発想

従来の矯正治療は、シンプルな引き算の考え方です。

▶️歯が28本ある
▶️並べるスペースが24本分しかない
▶️だから4本抜く

数学的には正しいかもしれませんが、

お子さんの将来にとって最善の選択ではないと私たちは考えます。

 

 

健康な永久歯を4本も抜いてしまうことで、

以下のようなリスクが生じる可能性が生じるの

です。

〇噛む力の低下

歯の本数が減れば、当然噛む力も弱くなります

〇顔貌の変化

抜歯によって口元が下がり、老けた印象になることも

〇顎関節への負担

歯の位置が大きく移動することで、顎関節に不調が出るケースも

 

もちろん、抜歯が必要なケースもありますが、

それは「最後の手段」だと思います。

 

🇯🇵欧米との決定的な違い

こんなデータもあります。

日本で矯正治療を受けた人の割合は約21%。

一方、アメリカでは約50%以上。

 

矯正治療の普及率は倍以上の差があるのは、

欧米では非抜歯矯正が主流なのです!

 

なぜこんな違いが生まれるのでしょうか?

答えは「いつ始めるか」にあります。

 

欧米では、幼少期から顎の成長を促す「予防矯正」が一般的です。

6歳臼歯が生える前後から、顎を広げ、正しい舌の位置や呼吸を学ばせる。

つまり、「歯が並ぶ土台づくり」を先にするのです。

 

一方日本では、永久歯が生え揃ってから矯正を始めるケースが大半。。

その時点で顎の成長はほぼ終わっています😭

 

だから「スペースがない→抜歯」という流れになってしまうのです。

 

❓「抜歯矯正」が主流になった歴史的背景とは

 

では、なぜ日本では抜歯矯正が主流になったのでしょうか?

日本に矯正治療が本格的に導入されたのは戦後のこと。

当時のアメリカから学んだ技術が基本となりました。

 

しかし、ここに大きな問題が。。

当時のアメリカで主流だった「エッジワイズ法」という治療方法は、

一番奥の歯を固定源として使うという技術。

 

つまり、歯を奥に移動させることができず、

前方のスペースを作るために抜歯を行っていたのです。

 

その技術体系が、日本の矯正歯科教育に深く根付いてしまいました。

しかも、日本の矯正歯科専門医の数は限られており、

多くの症例を効率的に治療するには「標準化された方法」が必要だったのです。

 

抜歯矯正は、ある意味「確実に結果が出る」方法として選ばれてきた

ということです。

 

 

⚠️抜歯矯正の「見えないリスク」

「きれいに並びました、治療終了です」

確かに見た目はきれいになります。

 

しかし、その後はどうでしょうか?

 

抜歯矯正には長期的なリスクがあることが、

近年の研究で明らかになってきています。

 

1. 口腔容積の減少

歯を抜くことで歯列弓(歯並びのアーチ)が小さくなり、

口の中の空間が狭くなります。

これは単なる見た目の問題ではありません。

舌の位置が窮屈になり、気道が狭くなる可能性があるのです。

その結果

– いびきをかきやすくなる
– 睡眠の質が低下する
– 集中力が続かない
– 成長ホルモンの分泌が減少する

という健康的被害が起こるかもしれないのです。

 

2. 咬合力の変化

28本の歯で支えていた噛む力を、24本で支えることになります。

当然、残った歯への負担は増加します。

将来的に歯周病や歯の破折のリスクが高まる可能性も指摘されています。

 

3. 後戻りの問題

抜歯によって大きく移動した歯は、元の位置に戻ろうとする力が強く働きます。

だからこそ、保定(リテーナーの使用)が長期間必要になるのです。

 

🦴「顎骨を育てる」という選択肢

では、抜歯せずに矯正する方法はないのでしょうか?

あります。

それが小児期からの「成長誘導型矯正」です。

 

私たちのクリニックで採用しているマイオブレース治療も、この考え方に基づいています。

マイオブレースは、単に歯を動かす装置ではありません。

以下の3つにアプローチします↓

1. 顎の成長を促す➡️適切な刺激を与えて、顎を自然に発達させる
2. 悪習癖を改善する➡️口呼吸、舌の位置、飲み込み方など、歯並びを悪くする原因を取り除く
3. 正しい機能を獲得する➡️鼻呼吸、正しい舌の位置、適切な咀嚼を身につける

 

つまり、「歯が並ぶための土台」を作るのです。

 

 

🤝治療開始時期が全てを決める

最も重要なポイントをお伝えします。

顎の成長は、永久歯が生え揃う前にほぼ終わってしまいます。

具体的には…
✅6〜9歳:上顎の成長のピーク
✅10〜12歳:下顎の成長のピーク
✅ 13歳以降:顎の成長はほぼ完了

つまり、「様子を見ましょう」と言われて中学生まで待っていると、

顎の成長を利用した治療はできなくなってしまうのです。

 

そうすると、その時点で選択肢は限られます

→抜歯して歯を並べる
→歯列を無理に広げて不安定な結果になる
→外科的な処置が必要になる

つまり、抜歯という選択も起こりうるのです。

 

⚠️「様子を見ましょう」という言葉の危険性

小児歯科や一般歯科で、こう言われたことはありませんか?

「まだ乳歯だから、様子を見ましょう」
「永久歯が生え揃ってから考えましょう」

この言葉には、善意があることは間違いありません。

しかし、結果的に最適な治療タイミングを逃してしまうケースが非常に多いのです。

なぜなら、歯並びの問題は、歯の問題ではなく「機能の問題」だからです。

– 口呼吸をしている
– 舌が正しい位置にない
– 飲み込む時に舌で歯を押している
– 姿勢が悪い

これらの習癖が、顎の成長を妨げ、歯並びを悪くしています。

そして、これらは早ければ早いほど改善しやすいのです。

 

⭕️❌抜歯矯正を否定しているわけではありません

誤解のないように申し上げますが、

私たちは抜歯矯正を全否定しているわけではありません。

例えば。。。
✔ 著しい顎の骨格的な不調和がある場合
✔ 成長が完全に終わってしまった成人の場合
✔親知らずが横向きに埋まっていて問題を起こしている場合

こうしたケースでは、抜歯が最善の選択になることもあります。

 

しかし、成長期の子どもに対しては、まず「顎を育てる」という選択肢が必要です。

最近では「歯を並べる」だけではなく、

「なぜ並ばないのか」という原因にアプローチする考え方が広がっています。

 

✋ 保護者の方に知っていただきたいこと

 

お子さんの矯正治療を考える時、以下のポイントをチェックしてみてください。

 

⚠️ こんなサインがあれば要注意

✅歯並びが悪い(噛み合わせ、出っ歯、受け口、歯並びがガタガタなど・・)
✅口がポカンと開いている(口呼吸)
✅いびきをかく

✅食べる時にクチャクチャ音がする
✅姿勢が悪い(猫背、頬杖をつく)
✅飲み込む時に口の周りに力が入る
✅前歯で噛み切れない

これらは、「将来抜歯が必要になるかもしれない」サインです。

 

🧑‍⚕️矯正相談で聞くべき質問

矯正歯科を受診する際は、ぜひこう聞いてみてください

1. 「なぜこの歯並びになったのですか?」
2. 「抜歯以外の選択肢はありますか?」
3. 「こどもの悪い習癖への対応はどうしますか?」
4. 「今始めないとどうなりますか?」

これらの質問に、納得のいく答えが返ってこなければ、

セカンドオピニオンを検討することをお勧めします👆

 

🏠歯並びの「土台」を作ることの大切さ

家を建てる時を想像してみてください。

土台が弱いまま建てた家は、どんなに立派に見えても、いずれ傾いたり崩れたりします。

だから、まず基礎工事に時間とお金をかけるのが一般的です。

 

歯並びも同じです。

「歯が並ぶための土台=適切に成長した顎」がなければ、

どんな治療をしても不安定な結果になってしまいます。

抜歯矯正は、狭い土地に無理やり家を建てるようなもの。

確かに建ちますが、窮屈で、長期的な安定性には疑問が残ります。

 

一方、成長誘導型の矯正は、土地を広げてから家を建てるようなもの。

時間はかかりますが、ゆとりがあり、安定した結果が得られます。

 

⏳最後に。。。「今」という時間の価値

「うちの子、まだ小さいから…」
「もう少し大きくなってから考えます」

そう思われる保護者の方は多いです。

しかし、お子さんの成長は待ってくれません。

6歳の時にできた治療が、12歳ではできません。
7歳で簡単に改善できた習癖が、15歳では困難になります。

これが、成長期の治療の現実です。

もし、お子さんの歯並びや顎の成長に少しでも不安があるなら、

一度専門家に相談してみることをお勧めします。

 

そして、もし「抜歯が必要」と言われたら、こう聞いてみてください。

「なぜ抜歯が必要なのですか?」
「他に方法はありませんか?」
「もっと早く来ていたら、抜歯せずに済みましたか?」

その答えに、お子さんの未来を変えるヒントがあるかもしれません。

 

 

Konohaこどもの歯ならびクリニックでは、

お子さん一人ひとりの成長に合わせた、非抜歯を目指す小児矯正を行っています。

「まだ早いかな?」と思う時期こそが、実は最適なタイミングかもしれません。

まずはお気軽にご相談だけでもご連絡ください。

相談は無料です😃

 

 

▪️福岡市の小児矯正専門クリニック(マウスピースと口筋トレーニング)

🗺️GoogleMaps:Konohaこどもの歯ならびクリニック学研都市

☎️092ー407−3900(水金土日)

福岡県福岡市西区周船寺3ー25−18ー1F

🚃JR九州筑肥線・九大学研都市駅から徒歩10分

🚗無料駐車場あり(5台)

 

 

参考情報
– 日本人の顎の骨格的特徴と矯正治療
– 成長期における顎骨の発育パターン
– 小児矯正における抜歯・非抜歯の選択基準
– マイオブレース治療の原理と効果

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